鏡の蒸着はアルミを使用していますが、反射率を高める方法として増反射コート(多層膜コート)と銀で蒸着する方法があります。
自前の蒸着装置はSiO2の蒸着レートが上げられない(スパッタでないと難しい)ことより厚付けができないので多層膜コートができません。
そこで再度、銀蒸着で試作してみることにしました。
前回は保護膜をSiO2で行いましたが今回はMgF2で試します。
SiO2の蒸気圧は2200℃/1Paと温度が高いのでタングステンボートが溶断するぎりぎりとなってしまうのですが、MgF2の蒸気圧は1150℃/1Paと温度が低いので余裕で蒸発するはずです。 ちなみに銀も容易に蒸発させることができます。
層構成は以下の通り。
下地 Al 100カウント
反射膜 Ag 1000カウント
保護膜 MgF2 320カウント
カウントは水晶膜厚計の周波数の変化量です。
Alはフィラメント(1セット)、Agはボート(1セット)、MgF2もボート(1セット)で実施します。
実施結果は
Al 103カウント
Ag 1027カウント
MgF2 184カウント
MgF2が半分程度で全て蒸発しきって終了してしまいました。
ちなみに蒸発後のタングステンボートは綺麗で残渣物はありませんでした。
よって、MgF2は2セット準備必要なことがわかりました。
目標よりもMgF2が半分の厚みとなっていますが当面この鏡を運用してみます。
問題なければ、銀蒸着もラインナップに含めようと思います。
あと、蒸着作業で難しいのは鏡の洗浄後に埃を付けないようにすることです。
とにかく、すぐに埃を寄せ付けてしまうので、イオナイザーを使ってみようかと考えています。