昨日は鏡を蒸着装置の上窯に取り付けたところで終了したので、本日は鏡の最終クリーニング作業をまず行います。 鏡には静電気で埃を引き寄せてしまうので、鏡についた埃や汚れを確認して除去します。 蒸着作業でこのクリーニングが最も気を遣う作業で仕上がりに大きな影響が及ぶ作業なので慎重に進めます。
クリーニングが完了したら、蒸着する材料をセットします。
これは、表面の保護膜となるSiO2(石英)の粒をタングステンのお皿に載せたところです。
続いて、昨日用意したアルミをタングステンのフィラメントに引っ掛けます。
続いて、上窯と下窯の境目の大きなOリングに薄く真空グリスを塗ります(数回に1回)
以上で、状宅準備が整ったので、上窯をひっくり返して、下窯と合わせて真空ポンプで蒸着窯の中の空気を排気します。 窯の中の圧力が8Pa程度になったら、プラズマを発生させて、鏡の表面の汚染を分子レベルでクリーニングします。 アルゴンガスに置換すればもっと強力にクリーニングできるのですが、空気のままの窒素・酸素主体のプラズマのためピンク色に発光しています。場所によって明るい所、暗い所ができて幻想的です。
だいたい400W投入して約30分この状態を保持します。
プラズマ処理が完了したら、ターボ分子ポンプを稼働させてさらに排気します。
圧力が8.5×10E-3Paまで下がったら、アルミの蒸着を開始します。
タングステンのフィラメントに電流を流して加熱していきます、一気に過熱するとU字型のアルミの中央部が真っ先に溶けて落ちてしまうので、アルミ全体が加熱されるまで待つとアルミがクシャっと玉になるタイミング来るので、そこからシャッターを開き蒸着を開始します。 アルミは完了したら同様に保護膜のSio2も蒸着します。
蒸着完了したら、ターボ分子ポンプ、次にスクロールポンプを停止し、大気圧に戻していきます。 大気圧に戻ったら、上窯を開いて鏡とご対面です。
鏡を取り出したら、再び上窯を閉じて真空引きします。
開けっ放しだと空気中の水分を吸着してしまうので、次回の真空引きの時間を短縮するために真空状態(10~100Pa程度)を維持させておきます。
以上、自宅での真空蒸着作業の流れをご紹介しました。